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鍼灸の古典「難経」のお勉強コーナー
~参考文献~
「難経入門」遠藤了一著 オリエント出版社 「難経ハンドブック」池田政一著 日本の医道社
「難経の研究」木間祥白著 日本の医道社 「難経本義」山下詢訓 名著出版
「わかりやすい難経の臨床解説」杉山勲著 緑書房 「ハイブリッド難経」割石務文著 六然社
「難経解説」東洋学術出版  「意釈八十一難経/小曽戸丈夫+浜田善利 共著」築地書館
「経絡治療 難経を学ぶ」名越礼子 経絡治療学会 「難経真義」池田政一著 六然社
図説 難経~易経と難経 西岡由記著 宝栄出版 「難経鉄鑑」広岡蘇仙著・伴尚志訳 たにぐち書店


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 脈学~色と脈が関係するというのはどういうこと?

十三難曰、経言、見其色而不得其脈、反得相勝之脈者即死、
 得相生之脈者病即自已。色之与脈、当参相応。為之奈何。
然、五蔵有五色皆見於面、亦当与寸口尺内相応。
 仮令色青其脈当弦而急、色赤其脈浮大而散、色黄其脈中緩而大、
 色白其脈浮而短、色黒其脈沈濡而滑。此所謂五色之与脈当参相応也。
 脈数尺之皮膚亦数、脈急尺之皮膚亦急、脈緩尺之皮膚亦緩、
 脈?尺之皮膚亦、脈滑尺之皮膚亦滑。
 五蔵各有声色臭味、当与寸口尺内相応。其不応者病也。
 仮令色青其脈浮而短、若大而緩為相勝。浮大而散、若小字滑為相生也。
 経言、知一為下工、知ニ為中工、知三為上工。上工者十全九、中工者十全八、
 下工者十全六、此之謂也。


十三難に曰く、経に言う「其の色が見わるるに、其の脈を得ず、反って相勝の脈を得る者は
 即ち死し、相生の脈を得る者は病は即ち自から已ゆ。色と脈とは当に参えて相い応ずべ
 し。」と。之を為すこと如何に。
然り、五臓に五色ありて皆な面に見わるるも、亦た当に寸口・尺内と相い応ずべし。
 仮令ば、色が青きは其の脈は当に弦にして急なるべく、色が赤きは其の脈は当に浮大にし
 て散なるべく、色が黄なるは其の脈は中緩にして大に、色が白きは其の脈は浮
にして短
 に、色が黒きは其の脈は枕濡にして滑なり。此を五色と脈とは当に参えて相い応ずべしと
 謂うなり。
 脈が数なるは尺の皮膚も亦数に、脈が急なるは尺の皮膚も亦急に、脈が緩なるは尺の皮膚
 も亦緩に、脈が
なるは尺の皮膚も亦?に、脈の滑なるは尺の皮膚も亦滑なり。
 五臓に各々声・色・臭・味ありて当に寸口尺内と相い応ずべく、其の応ぜざる者は病なり。
 例えば、色が青きとき、其の脈が浮
にして短なるか、若しくは大にして緩なるを相勝と
 なし、浮大にして散なるか、若しくは小にして滑なるを相生となすなり。
 経に言う「一を知るを下工となし、二を知るを中工となし、三を知るを上工となす。上工は
 十に九を全うし、中工は十に八を全うし、下工は十に六を全うす。」とは、此れこの謂なり。


(訳)
/十三難
 昔の医書「霊枢」には、「病人の顔色の変化が出ているときに、
その色に相応する脈象ではなくて、かえって相剋の脈がでていれば、それは死ぬ。
また、相生の脈がでていれば自然に病気は治る。
顔色と脈象とはお互いに対応すべきものがある。」とあるけど、これはどういうことなの?

/
 そそれはね、五臓にはそれぞれ相応する五色があって、すべて顔色にあらわれているんだよ。
でね、それは、寸口の脈と、尺膚つまり前腕の内側の皮膚の状態とも相応しているんだ。

たとえば、
色が青い場合、それは肝の脈をあらわす弦で急だし、
色が赤い場合、それは心の脈をあらわす浮・大で散になるし、
色が黄色い場合、それは脾の脈をあらわす中・緩で大であって、
色が白い場合、それは肺の脈をあらわす浮・渋で短で、
色が黒い場合、それは腎の脈をあらわす沈・濡で滑なんだよ。

 肝は、ギターの弦のようにピンとひきしまって緊張している脈。
 心は、浮いていて大きくて、おさえるとパーっと散る脈。
 脾は、浮・中・沈の内の中間の脈で、緩やかでおおらかな脈。
 肺は、浮いていて、細く渋りがちで短い脈。 
 腎は、沈んでいて、軽くおさえるとやわらかくて、強くおさえると堅くて滑らかに滑りのいい脈。)

この状態が五色と脈が相応して整っている状態なんだよ。
脈が心の脈で速い時は、前腕の皮膚もまた速いつまり熱があるってことなんだ。
脈が肝の脈で急な時は、前腕の皮膚もまた急つまりピンと張っている。
脈が脾の脈で緩な時は、前腕の皮膚もまた緩つまりゆるやかになっている。
脈が肺の脈で渋な時は、前腕の皮膚もまた渋つまりかさかさしている。
脈が腎の脈で滑な時は、前腕の皮膚もまた滑つまり潤って滑らかになっている。

五臓にはね、それぞれ特有の声・色・臭・味があってね、それらも寸口の脈と前腕の内側の皮膚と相応しているんだよ。相応してないときは病気なんだ。

たとえば、
顔色が青いとき(=肝の色)に、その脈が浮で渋で短になる場合(=肺の脈)、もしくは大で緩になる場合(=脾の脈)は、「肺剋肝(金剋木)」または、「肝剋脾(木剋土)」となり、相剋関係となるだろ?この場合、この人は死病といえる。

浮で大になる場合(=心の脈)、もしくは小で滑になる場合(=腎の脈)は、「肝生火(肝生心)」または、「腎生肝(水生木)」となり、相生関係となるんだ。この場合、この人の病は治るといえる。

昔の医書「霊枢」にはこう書いてある。
「顔色・寸口の脈・尺膚の三つのうち、一つだけを知っている人を下工つまり下級の医者といい、二つを知っている人を中工つまり中級の医者といい、三つを知っている人を上工つまり上級の医者という。上工は10人のうち9人を治し、中工は10人のうち8人を治し、下工は10人のうち6人を治す。」
とね。これは、こういうことなんだよ。




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