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鍼灸の古典「難経」のお勉強コーナー
~参考文献~
「難経入門」遠藤了一著 オリエント出版社 「難経ハンドブック」池田政一著 日本の医道社
「難経の研究」木間祥白著 日本の医道社 「難経本義」山下詢訓 名著出版
「わかりやすい難経の臨床解説」杉山勲著 緑書房 「ハイブリッド難経」割石務文著 六然社
「難経解説」東洋学術出版  「意釈八十一難経/小曽戸丈夫+浜田善利 共著」築地書館
「経絡治療 難経を学ぶ」名越礼子 経絡治療学会 「難経真義」池田政一著 六然社
図説 難経~易経と難経 西岡由記著 宝栄出版 「難経鉄鑑」広岡蘇仙著・伴尚志訳 たにぐち書店


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  経絡~病状と予後

二十四難日、手足三陰三陽気、已絶何以為候、可知其吉凶、不。
然、足少陰気絶即骨枯。少陰者冬脈也、伏行而温於骨髄、故骨髄不温、
 即肉不着骨。骨肉不相親、即肉濡而却。肉濡而却、故歯長而枯、髪無潤沢、
 無潤沢者骨先死。戊日篤、巳日死。
 足太陰気絶、則脈不営其口唇。口唇者肌肉之本也。脈不営則肌肉不滑沢、
 肌肉不滑沢則肉満、肉満則唇反、唇反則肉先死。甲日篤、乙日死。
 足厥陰気絶即筋縮、引卵与舌巻。厥陰者肝脈也、肝者筋之合也、筋者聚於
 陰器、而絡於舌本。故脈不営則筋縮急。筋縮急即引卵与舌。故舌巻卵縮。
 此筋先死。庚日篤、辛目死。
 手太陰気絶即皮毛焦。太陰者肺也、行気温於皮毛音也。気弗営則皮毛焦、
 皮毛焦則津液去、津液去即皮節傷、皮節傷則皮枯毛折、毛折者則毛先死。
 丙日篤、丁日死。
 手少陰気絶則脈不通、脈不通則血不流、血不流則色沢去。故面色黒如(*)。
此血先死。壬曰篤、癸日死。
三陰気倶絶者、則目眩転日瞑。目瞑者為失志 失志者即志先死。死即目瞑也、
六陽気倶絶者、則陰与陽相離。陰陽相離則?理泄絶、汗乃出入大貫珠、
転出不流、即気先死。旦占夕死、タ占旦死。


〇二十四難に曰く、手足の三陰三陽の気がすでに絶えたるは、何を以てうかが候うや、其の吉凶を知るべきやいなや。

然り、足の少陰の気が絶ゆるときは骨が枯るるなり。少陰は冬の脈なり。伏行して骨髄をあたた温むるものなり。
故に骨髄が温まらざるときは、肉は骨につ著かず。骨肉が相い親まざるときは、肉はやわら濡かくしてちぢ却む。
肉が濡かくして却むが故に、歯は長じて枯れ、髪は潤沢なること無くじゅんたく潤沢なること無き者は骨が先ず死せるなり。
ぼ戊の日にあつ篤く、き己の日に死するなり。
  足の太陰の気が絶ゆるときは脈が其の口唇を栄せず。口唇は肌肉の本なれば、脈が栄せざるときは、肌肉は滑沢ならず。
肌肉がかったく滑沢ならざるときは肉はまん満す。肉が満するときは唇はそ反る。
唇が反るときは肉が先ず死せるなり。甲の日に篤く、乙の日に死するなり。
 足の厥陰の気が絶ゆるときは筋が縮み卵と舌とに引きて巻く。厥陰は肝脈なり。
肝は筋の合にして筋は陰器にあつ聚りて舌本をまと絡うが故に、脈が栄せざるときは筋は縮急す。
筋が縮急するときは卵と舌とに引く。故に舌は巻き卵はちぢ縮むなり。此れ筋が先ず死せるなり。
こう庚の  日に篤く、辛の日に死するなり。 手の太陰の気が絶ゆるときは皮毛がこが焦るるなり。
太陰は肺なり。気を行めて皮毛を温むる ものなれば、気が栄せざるときは皮毛が焦る。皮毛が焦るるときはしん津えき液は去る。
津液が去 るときは皮節が傷らる。皮節がやぶ傷らるるときは皮は枯れ毛は折るるなり。
毛が折るるとき は毛が先ず死せるなり。丙の日に篤く、丁の日に死するなり。
手の少陰の気が絶ゆるときは脈が通ぜず。脈が通ぜざるときは血が流れず、血が流れざるときは色沢は去る。
故に面は黒きこと(*)の如し。此れ血が先ず死せるなり。じん壬の日に篤くき癸の日に死するなり。
三陰の気がとも倶に絶ゆるときは目がげんてん眩転し目がめい瞑す。目が瞑せる者は志を失せりと為す。
志 を失うときは志が先ず死せるなり。死するときは目が瞑するなり。
六陽の気が倶に絶ゆるときは陰と陽とが相い離る。
陰陽が相い離るるときはそう?り理がし泄して絶し、汗が乃ち出で、大きさはかん貫じゅ珠の如し。転出して流れざるときは気が先ず死せるなり。
あした旦にし占むれば夕べに死し、夕べに占むれば旦に死するなり。


(訳)
/ニ十四難
 手足の三陰三陽の脈気が絶えてしまうとどうなってしまうんだろ?
死ぬときとか、その予後なんかを知ることができるのかな?

/
 うむ。 足少陰腎経の気が絶えた時は、骨や骨髓なんかが枯れて悪くなるな。
少陰は冬の脉だろ?深く沈んだトコを流れてるから、骨や骨髄を温めているものなんだ。
だから、骨や骨髄が温まらない時は、肉が骨に付かない状態なんだな。
骨と肉がうまい具合に親和しなけりゃ、肉は軟弱になって萎縮してしまうよ。
肉が頼りなく縮んでしまうから、歯肉も萎えたようになって、歯が長くみえるようになるんだ。
髪は艶だとか潤いだとかがなくなってしまって、ね。
こんなふうに、艶や潤いが無いというのは、骨や骨髄が先ずだめになってしまったっていうことなんだよ。
これは、腎=水、土尅水で、土=戊(つちのえ)の時に、病状が悪化して、土=己(つちのと)の時に、死んでしまう。

足の太陰脾経の脈気が絶えるとね、それは、脈気が口唇に栄養を与えられないということなんだな。
口唇は、肌肉でできているだろ?だから、脈気は肌肉に栄養を与えられなくなると、肌肉をなめらかにすることができなくなって、
肉がブヨブヨしてきて、唇が反り返ったりするんだ。
それは、肌肉がだめになったってことだ。
脾=土、木尅土、木=甲(きのえ)の時、病気は悪化して、木=乙(きのと)の時、死ぬんだ。

足の厥陰の脈気がなくなると、筋や腱が縮んでしまう。
陰茎が引き攣れて、舌が巻いてしまうんだよ。
厥陰は、肝の脈だろ?でもって、肝は、筋を支配している。ということはさ、陰器には筋があつまっているし、
舌にも絡んでいるから、肝気が筋や腱に栄養を与えないと、筋や腱は縮んでしまうし、陰茎や舌も引き攣れてしまうってことなんだ。
これは、まず、筋や腱がだめになってしまったってことなんだ。
肝=木、金尅木、金=庚(かのえ)の時、病気が悪化して、金=辛(かのと)の時、死ぬ。

手の太陰肺経の脈気が絶えると皮毛が焦げてしまう。
太陰は、肺のことだろ?気が行き渡ると、皮毛は温かくなるんだ。
でも、脈気が皮毛に栄養を与えないと、皮毛は焦げてしまうんだ。そんなときは、津液もなくなってる。
津液がなくなると、皮毛や関節も傷めてしまうんだ。
皮毛や関節が傷んでしまったときは、皮膚はカサカサになって、毛は折れてしまう。
毛が折れてしまったときは、皮毛がだめになったってことだ。
肺=金、火尅金、火=丙(ひのえ)の時、病気が悪化して、火=丁(ひのと)の時、死んでしまう。

手の少陰心経の脈気がなくなると、血脈が通らなくなってしまう。
血脈が通らなくなると、血が流れない。血が流れなくなると、顔の色の光沢がなくなるよ。
だから、顔の色は黒くすすけたようになってしまう。
これは、血脈がだめになったってことだ。
心=火、水尅火、水=壬(みずのえ)の時、病気が悪化して、水=癸(みずのと)の時、死ぬんだよ。

三陰の脈気が全部だめになってしまうと、目がかすんでクラクラしてしまったりして、目が開けられなくなってしまう。
目が開かないってことは、腎の精神=志がなくなってしまったということなんだ。
志がなくなってしまうと死ぬ。そして、目も開かないということだ。

六つの陽気が途絶えたら、陰と陽はバラバラになってしまう。
陰陽がバラバラになると、皮膚の理を引き締める陰気もなくなって、理から発散する陽気もなくなってしまう。
そのために、珠のようなあぶら汗が噴き出しても流れない。
それは、陰陽の気がだめになってしまったということだから、死んでしまう。
朝にこの状態になると、夜死ぬ。
夜にこの状態になると、朝死ぬ。




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