・・・その1

患者さん(Mさん)と、私の短歌集です。気楽に読んで下さい。


   平成十一年 初春

・春近し 一雨ごとの暖かさ  いつか咲かさん 心のさくら    M
   M Mさん、第一作目の記念すべき短歌!

   「心のさくら」に、非常に心うたれて、私も、短歌作ってみようと思いました。
・水・土と ひと鍼ごとに 願い込め 早く来い来い 心のさくら     由貴子
   毎週水・土に往診に行っています。
   前作の「心のさくら」をお借りしました。私の短歌第一作です。

・菜の花の じゅうたんに乗り よその国 行ってみたいな 安らぎ求めて     M
   「行ってみたいな、安らぎ求めて」という フレーズに、重みを感じました。

・新年の 春一番に咲く花は 路地の花より 恋の花かも     M
   私の「最近気になる人がいるんです!」
   という下らないおしゃべりに答えてくれたものです。

・暖かな 風に運ばれ春が来た 木々の緑や 鳥の鳴き声      M

・梅の香が 風に運ばれ 春さそい 庭にも聞こゆ うぐいすの声     M
   ベッドの中で聞く、うぐいすの声は、まさしく、春の訪れを感じるものなのかも知れません。



平成十一年 春

・春になり 庭にたわわの さくらんぼ 争い悲し 鳥と人間     M
   Mさんのお宅の庭に、さくらんぼがたくさんなっています。
   それを奥様が、私や訪問看護婦さんなどにくださるために、
   梯子に上って、 鳥に突かれたものを嘆きながら、
   孤軍奮闘して取っている様子を詠まれたようです。
   奥様の奮闘のおかげで、とても美味しいさくらんぼうを食することができました。

・ うららかな 日溜まりのもと あくびひとつ そよ吹く風に 春を感じつ    由貴子
   庭を何気なく眺めていたら、こんなのんびりした気分になりました。

・ 雨風に 打たれつ 空を 舞う雲雀 雲の切れ間に 光差すかも     M&由貴子
   Mさんと私との合作。 「雲の切れ間に 光差すかも」に、上の句をつくってもらいました。

・ 見渡せば 田に一面の 蓮華草 遊ぶ童の 顔にも春が      M
   映像が浮かんできそうです。

・ しだれ舞う 淡き桜の花びらよ 青空キャンバス春色絵の具     由貴子
   往診途中の風景を詠んでみました。


平成十一年

・初夏 藤棚に 枝垂れ落ちたる 藤の花 甘き香りが 五月の空に     M
   五月の風景として、ニュースなどで見たことがありますが、
   実際には知りません。甘い香りにさそわれてみたいです。

・ 庭の木に 朝早くから 舞い降りて 眠い私を 起すな鳥よ     M

・ 五月晴れ 陽光照らし 萌芽する 生命の息吹 心ふるわす     由貴子


平成十一年 梅雨

・晴れた日は 車に揺られ 遠出して 野原を駆ける 犬と叔父さん     M

・ しとしとと 降りしきる雨 見せられて 行けぬ散歩に ため息 寝息     M
   この2作はMさんの飼っている犬のシルキーことです。
   「叔父さん」は奥様の弟さんのことで、介護のお手伝いをして下さっています
   シルキーは、散歩が大好きですが、雨が降っているとつれていってもらえません。

・カッパ着て 走る往路を 照らすのは 夫人の元気 主人の笑顔     由貴子
   雨の日に自転車で往診する私の心境です。

・ 庭の木の 渇いた肌に 梅雨の雨 松や桧の 緑が映える     M

・ 耳元に ブンとうるさい 蚊が来ても 動かぬ我が身の 腹立たしさよ     M

・ 梅雨休み 夕暮れ時の 富士の山 陽に照らされて 紅々と見ゆ     M

   以下3作は、コメディカルとして働く私達を詠んでくれました。
・三人の 心やさしい 看護婦に 看られて嬉し 訪問の日々     M
   訪問看護婦さんのこと。

・ お風呂やの 若者達に 磨かれて 心身共に 光り輝く     M
    入浴サービスの方達のこと。

・ 独身の 美人鍼師に 打たれれば どんな病も ピタリと治る     M
   私のこと(笑)。
   この短歌以降、より一層、みんな気分よく仕事をしています(笑い)。


平成十一年 夏

・ 友達と 海で遊んだ スイカ割り 目隠しされて 何処へ行くやら     M
   少年時代を思い出されて詠まれたのでしょうか。

・ 朝早く 眠気を覚ます 蝉時雨 うるさき声に 暑さひとしお     M
   夏の到来を実感します。

・ 一日を 表の見  える 玄関で 誰を待つのか 犬のシルキィ     M
   シルキーは、往診に行くと、必ず玄関で迎えてくれます。
   こちらが動揺する程(笑)の歓待ぶりです。

・ 天の川 飾り付けした 笹竹を 届けておくれ 思う人へと     M
   この「思う人」と言うのは、いったい誰?と、話題になりましたが、
   「たぶん、奥様」と言うことで、ひとまず、終息しました。

・ 夏の朝 夜露に濡れた 朝顔が 朝日を浴びて まぶしく光る     M

・ 夏休み 子供が家に いる為に ふだんの暮らし 出来ない私     M
   家庭を持っている訪問看護婦さんのことです。
   こうやって、Mさんは、私達のことを観察している様です。

・ 誰想う 夏の終わりの 海に来て 打ち寄せる波 見つめながらも     M
   これは、どうも私を歌ったものらしい(笑い)。 こうやって、Mさんは・・・・(笑)。

・ 涼さそう アスファルトに水をまく 照りつける陽射し さっきの水あと もう消えてしまった    由貴子
   打ち水をしている情景を詠んでみました。

続く。



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